ショックな【喪失体験】5段階から「受容」への道のり

最近、さまざまな「喪失(そうしつ)
体験」の悩みをお聞きする機会があります。

長くお付き合いしていた彼からの別れが
信じられなくて、どうしてこうなったのか
何度も何度もLINEしても、
既読もない・・

職場のスタッフや上司からパワハラされ
結局仕事をやめて失業せざるを得なくなった
やりどころのない怒りと
なぜ私がこんな目に・・

なぜ、わたしが?どうして?
と言い尽くせない苦しい思いを語られます。

「まるで心に穴が開いた」ような喪失感

喪失感とは

自己の価値観における大切な人や物、
大事にしてきたものごとが、
失われてしまったという、
悲痛な感覚や心境をいいます。

「まるで心に穴が開いたようだ」など
 形容されることも多いようです。
 (Weblio辞書より)

そのような時、
私たちはどんな過程を経て
穏やかな本来の自分に
戻ることができるでしょうか。

【21年版白書】コロナ禍で苦しむ「働く女性」の自殺が3割増

先日ショックな新聞記事を目にしました!

新型コロナという、
出口の見えないトンネルの中で
大規模な失業や
孤立、それに伴う不安が
人々を苦しめています。

政府の統計によると
女性「被雇用者・勤め人」の
自殺者が増えたと発表されました。

女性の自殺者増加が多かった職種
2020年自殺者数
事務員 270人
その他のサービス業 194人
販売店員 194人
医療・保健従業員 174人
その他の専門・技術者 71人
厚生労働省(令和3年版自殺対策白書)


増加の職種の順位として
・事務員
・その他のサービス職
・販売店員
・医療・保健従事者
・その他の専門・技術職

原因・動機として
・勤務問題
・職場の人間関係
・職場環境の変化

コロナの影響で仕事に不安を抱えている
女性が厳しい現実にあるとあらためて思いました。

こんな時だからこそ
判断や思考がぶれないように
負けないでほしいと思います。

誰かに相談したり
占いやSNS相談を利用して
心の重荷を軽くすることが大切です。

精神科医キューブラー・ロスの「悲しみの5段階」

突然の喪失や、大きな変化を
受け入れていくためには、5つの段階を
踏んでいくと
言われています。

エリザベス・キューブラー・ロスは

死という「究極の喪失」を
どのような過程を通して、
私たちは受け入れていくのかを
明らかにされています。

「悲しみの5段階」と言われますが
さまざまな呼び方で例えられます。
「受容に至るまでの5段階」
「5段階のプロセス」など

看護師や医療従事者は
患者さんの精神的なケアや、
家族支援を行う時に、
この5段階を使うことがあります。

病院で看護師の頃、苦しみ悲嘆の指標
として使っていました。

死にかぎらず、
日々のショックな出来事や
避けられない悲しみなども
この5段階のくりかえしであると
いわれます。

第1段階:否認と孤立

「衝撃的なできごと」が起こった時、
ショックを受け入れることが出来なくて
まず「否認」がおこります。

そんなまさか!
こんなひどいことが起こるなんて!

呆然として頭の中が真っ白な状況で
混乱してしまいます。

ていねいに話を聞いてあげることが
大切です。
気持ちが落ち着くまで待ってあげましょう。
励ましやアドバイスは言わない方が
良いと思います。

第2段階:怒り

喪失した現実を徐々に認めざるを
得なくなり怒りを感じます。

自分の考え方や価値観がゆらぎ
今まで経験しないようなできごとに
「怒りや恨みの感情」がわいてくると言われます。

なぜこんな目にあわなくては
ならないの!
この怒りが他者に向けられるのです。

怒りの感情を外側に出す作業を
してることで、怒りをぶつけられることが
あるかも知れません。

思う存分怒りを言ってもらいましょう。
本人は誰かに話したいと思っています。
怒りを感じるのは自然な流れだと
伝えてあげましょう。
感情を外にだすことで次の取り引き
進めるのです。

第3段階:取り引き

失ったものをどうしたら取り戻せるか

あの時こうしていたら
もっとこうだったら
この出来事がうそであってほしい!
これからこれだけはさせて欲しい・・

神や仏にすがったり、善い行いを
しようとすることもあります。

「取り引き」を始めながら、
また前の「怒りの感情」に
もどったり、
行ったり来たりすることも理解してあげましょう。

第4段階:抑うつ

今までのプロセスが無駄であると分かり、
あきらめ、むなしさ、憂うつ、絶望な
気持が支配して落ち込みます。

つらくてしょうがない!
これからどうなるの!

共感がなにより大切です。
黙って一緒にいるだけでも充分なことも
あります。
元気づけようとしたり、励ましたりは
逆効果。
心が乱されたり追い詰めることに
なります。
「不安な気持ちを聞いてあげるよ」と
伝えてあげましょう。
つらいと打ち明けたり、悲しみを
言葉で言いましょう
「だれでもそうなったと思うよ」
「間違ってないよ」と言ってあげましょう

第5段階:受容

自分自身の現実、現状を静かに
穏やかに受け入れることのできる
受容の段階に入ります。

キュプラー・ロスは、受容とは
「幸福な段階と誤認してはならない」

話をする気分ではなく
『エネルギー 喪失』
にいたっていると言っています。

受容の段階から、やっとスターできる
すこしづつ心が健康になり、
気持ちをきりかえようと思えてきます。

【受容】までのプロセスをとおして

悲しみの5段階は
個人によって否認、抑うつ、取引、

怒りが一度に押し寄せることもあるようです。

途中で一つ前へ戻ったり、
二つ先へ飛んだりと行ったり来たりします。

人として成長していく道のりへの
プロセスともいえるのです。

まとめ「新たなステージへ歩みだす勇気をもってほしい」


ドイツの教育学者、
エリカ・シューハルト氏は

感情は、人の中を通り過ぎていくもの
人がある感情を抱けば、
その感情は外に出ていき
そして人はまた別の新しい感情を抱く。

感情は時間とともに変わっていきます。
つらかった気持ちも、
懐かしい感情にかわったり
忘れることだってあります。

長い人生において、私たちは
そんな経験があるからこそ
今の自分になれたのだと思います。

そんなふうに思える時
新たなステージへと歩みだす勇気
持つことができるのではないでしょうか。

どんな事があっても
新しい明日を信じて
自分自身の人生を生き切って
欲しいと思います。